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リンパ浮腫の原因や症状、合併症について
-スーパーマイクロサージャリーを駆使した手術治療-

リンパ浮腫の原因

リンパ浮腫とは、リンパの流れが滞り、手足などにむくみが生じる疾患です。リンパ浮腫は、「二次性リンパ浮腫」と「原発性リンパ浮腫」に大別され、多くは二次性リンパ浮腫です。特に日本をはじめとした先進国では、がんの手術や放射線治療に伴い発症するケースがほとんどです。

がん手術におけるリンパ節の摘出

がんの手術を行う際、「リンパ節郭清(かくせい)」といって、がんの転移を防ぐ目的でがん周辺のリンパ節も同時に摘出することがあります。

リンパ浮腫の症状

早期の症状

リンパ浮腫のもっとも早期では張りや重だるい症状がみられます。このとき患者さんが自覚できるむくみの症状はなく、医師が注意深く診察をしてもわかりません。早期での診断はICGリンパ管造影などの検査でのみで行うことができます。

進行時の症状

リンパ浮腫が進行するとむくみが顕著になってきます。

はじめは、皮膚を押すと凹みが一時的にみられるむくみがみられますが、罹病期間が長くなってくると皮膚を押しても凹まなくなってきます。

さらに進行すると、皮膚が分厚くなってイボやトゲ状になる「象皮症(ぞうひしょう)」、皮膚に1~2mm程度の袋状のイボを生じる「リンパのう胞」や、リンパ液が皮膚から漏れ出してくる「リンパ漏(ろう)」が生じることもあります。

リンパ浮腫に伴う合併症

蜂窩織炎(ほうかしきえん)

リンパ浮腫の患者さんに注意していただきたい合併症は蜂窩織炎(ほうかしきえん)です。患部が熱を持って赤く腫れ上がるなどの症状が現れます。

リンパ浮腫の治療法の種類

リンパ浮腫の治療法は、患者さんの症状の進行程度に合わせて以下から選択されます。

  • 保存療法…圧迫療法・リンパドレナージ・運動療法・スキンケア
  • 手術治療…リンパ管細静脈吻合術・血管柄付きリンパ節移植術・脂肪吸引術

保存療法について

リンパ浮腫の保存療法には「圧迫療法・リンパドレナージ・運動療法・スキンケア」がありますが、中でも特に重要なものが、患部の圧迫療法です。しかしながら、圧迫療法はあくまでも対症療法です。圧迫療法を中断するとリンパ浮腫はどんどん進行していくため、進行を遅らせるために圧迫療法を継続する必要があります。 

弾性包帯による圧迫療法

弾性包帯による圧迫療法(装着するのに15分ほどかかります)

手術治療について

手術の様子

リンパ管細静脈吻合術(LVA)

リンパ管細静脈吻合術(LVA)とは、リンパ管(0.3~0.5mm程度の大きさ)と同程度の大きさの細い静脈をつなぎ合わせてリンパ液の鬱滞(うったい)を解除する手術です。スーパーマイクロサージャリーという0.5mm以下の血管やリンパ管を縫合する技術を用いて行います。

血管柄付きリンパ節移植術

血管柄付きリンパ節移植術は、患者さんご自身からリンパ節やリンパ管を血管と一緒に採取し、リンパ浮腫の原因となっている部分に移植する手術です。LVAと同様にリンパの流れを改善させる根本的治療です。先述のLVAでは改善が見込めないほど、リンパ管に強いダメージがある方が適応です。

脂肪吸引術

リンパ浮腫の進行によって増えた脂肪は手術では減少しないので、患部を細くするために脂肪吸引術を行うことがあります。

脂肪吸引術は手術直後から患肢が細くなりますが、脂肪と同時にリンパ管も除去・破壊されてしまうので、リンパの流れがさらに悪化します。そして術後継続的に、より強い圧迫療法が必要になります。

すでにリンパの流れがまったくない重症患者さんに対する「最終手段」の治療法です。

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