メニューにジャンプコンテンツにジャンプ

トップページ > 診療科・部門 > 部門 > 放射線診療部門 > スタッフ報告 > 国際協力 > 2016年 国際展開推進事業

2016年 国際展開推進事業

2016年 国際展開推進事業(病院における放射線技術部門強化プロジェクト ベトナム研修生受け入れ成果報告)

NCGM放射線診療部門における医療技術等国際展開推進事業の背景と目的

 NCGM放射線診療部門では、長きにわたり国際医療展開事業を行ってきました。この医療の国際展開の行動及び実績は、厚生労働省と各国の保健省との協力関係の樹立に寄与し、国際医療協力を醸成してきたところであります。我が国は国民皆保険の下、世界最高レベルの健康寿命と保健医療水準を達成してきました。今後、長年培ってきた日本の経験や知見を活かし、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ達成に向けて医療分野における国際貢献を果たしていくことが重要な課題となっています。
  NCGMで行っている医療技術等国際展開推進事業は、国際的な課題や我が国の医療政策、社会保障制度等に見識を有する者の速やかな関係国への派遣、関係国からの研修生受け入れを実施しています。また必要に応じて対象国の公衆衛生水準の向上を図りながら、主な協力テーマである「我が国の公的医療保険制度についての経験の移転」や「先端医療についての技術移転」等を着実に実行する事を目的としています。

放射線診療部門で行う研修事業は、
・日本において放射線技術に関する品質管理の基本、管理・改善を研修し技術の習得を目指す。
・習得した技術を帰国後、職場内で伝達、周知する。
・出来ていないのであればその環境を改善する手助けを行い、関係国の質の管理、向上を目指
以上を主目的とし、放射線技術の能力強化を目的としています。

 2016年度は、ベトナム国を対象に研修を実施しました。NCGMは、ベトナムにおいて長年にわたり医療技術協力を実施しています。現在ベトナムでの緊急の課題は病院の質・管理が挙げられています。その背景において、昨年度は、臨床検査部門・放射線診療部門・薬剤部門の3部門における強化プロジェクトが行われ、放射線部門では撮影技術と共に画質の維持・管理・改善を目的とした事業が行われました。ベトナムを代表する(トップレファレルと呼ばれる)バックマイ病院(ハノイ)、チョーライ病院(ハノイ)から事業に参加した放射線技師は、職場で指導的立場の者であり、CT,MRIのQC/QAに関する内容は経験が乏しく、重要性を認識し次年度の事業継続を熱望しており、要望点を重点的に講義・実習を行い一定の成果を得ることが出来ました。

2016年度 放射線診療部門における研修

  ベトナム国における中心的な病院(バックマイ病院及びチョーライ病院)より、現場責任者として従事している診療放射線技師4名を対象に、8月21日から9月23日の約1ヶ月にわたり研修を実施しました。主な研修内容は品質管理の基本、画像の管理・改善を研修し技術の習得を目的としました。実際に日本の規格に準拠したテストファントムを研修で使用し実験を行ったり、放射線画像に関する継続的な質の管理と被ばく低減、放射線治療技術に関する品質管理(QC/QA)が向上するような研修を専門スタッフが講義を行いました。
  また研修後、研修内容が伝達され実行されているかの確認のフォローアップを行いました。日本とは異なる医療システムなので全てが現場に反映されているわけではありませんでしたが、必要性は十分に理解してもらえており、時間をかけて良質な医療技術を醸成していっていただけたらと強く感じると共に、NCGMで研修した内容が他スタッフに積極的に対し、伝達講習がなされている事を確認出来ました。またNCGMにおけるマネジメント研修を参考にし、急拡大する組織運営を円滑にするための主任技師確立や、人材配置を計画されている現状には研修の大きな成果を感じました。また、現地講習に対し活発な意見交換が出来、研修の重要性が理解され、今後の人材育成に向けた交流の必要性を共有する事が出来ました。
p1 
p2
p4
p5
p6

今後の
NCGM放射線診療部門国際医療の展開
 
   本事業は、診療放射線技師の技術能力の強化を目的としています。高度な撮影技術や品質管理手法、評価方法に関する研修を実施し、相手側からも評価を頂いています。これらを背景として、当院での研修の最終目的は成長戦略の成果実現というコンセプトを前提にしています。故に、要望の高い研修を行い、各種技術とそれを実行するためのツールを知ってもらう為のプレゼン要素を織り込んでいます。これまでの研修により技術を実行に移すための、放射線機器、管理機器、評価機器などを紹介。今後は、これら日本医療機器及び技術をセットにしたアプローチを模索するステージにあります。つまり各種医療機器、それを扱う技術者(NCGM専門家)、各医療機器メーカによるアウトバンドの試みが実現されることを理想に据えています。しかしそのためには、現地における代理店の構造調査や医療機器に関する薬事などの詳細を知る必要がある。また、企業・メーカに対しても積極的なアプローチ及び説明が必要になります。昨今、グローバリゼーションからローカリゼーションへとシフトしている中で、相手国をより理解することが重要。それによりサスティナブルな協力関係の構築が可能になると言われている。NCGM放射線診療部門では、世界各国の要望及び人材育成に関する協力関係の強化についても、積極的に本事業を推進してゆきます。