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HIV感染者に多く発症する悪性リンパ腫には、特徴的な遺伝子制御が存在する

2013年12月13日

独立行政法人 国立国際医療研究センター

国際科学誌『AIDS』掲載

要旨

HIVウイルスは免疫機能を抑制し、細菌感染など通常は起こらない感染(日和見感染症)を惹き起こす。しかし、近年の治療法の進歩により、日和見感染症は減少し生存率は向上した。反面、悪性腫瘍の合併による死亡が問題になってきている。特にHIV感染者の悪性リンパ腫は、非感染者に比して発症頻度が200倍から1000倍であり、進行が早く、多臓器へ広がって行く場合が多い。また、薬剤治療に対する抵抗性も高いため、極めて治療経過が悪い。

私たちは、HIV感染者とHIV非感染者に観られる血液がんのひとつである悪性リンパ腫について、DNAの転写制御について解析を行った。DNA転写制御のひとつとして、DNAメチル化修飾が知られている(図参照)。結果、HIV感染者に観られる悪性リンパ腫には、特徴的なDNAのメチル化パターンが存在し、非感染者と異なる遺伝子制御が存在する可能性を、世界で初めて見いだすことができた。つまり、同じリンパ腫であっても、異なる性質や治療に対する反応がある可能性を、分子生物学的手法により示すことができた。今後、DNAメチル化について詳細に解析することで、進行が早いなどHIV感染者の症状の原因解明や治療の予測のマーカーへ発展することを期待している。
遺伝子制御

研究の背景

日本は先進国でありながらHIV感染者は年々増加し、依然として早急な対策が必要とされている。一方、抗ウイルス剤の開発によりHIV感染者は長期生存が可能になり、一方で、その死因の多くは悪性腫瘍にシフトしてきている。HIV感染者では血液がん(悪性リンパ腫など)が高頻度に発症する。しかし、未だ治療法は確立されておらず、基礎的研究と臨床研究の両面の推進が必要である。

本研究の概要・意義

HIV感染者に観られる血液がんのひとつである悪性リンパ腫には、特徴的なDNAのメチル化パターンが存在し、非感染者と異なる遺伝子制御が存在する可能性を、世界で初めて見いだすことができた。HIV感染者に発症する悪性リンパ腫の治療経過不良の原因を明らかにする可能性があり、今後の治療への応用が期待される。

今後の展望

HIV感染者に観られる血液がんのひとつである悪性リンパ腫のDNAメチル化について詳細に解析することで、HIV感染者でのリンパ腫の重症化の原因解明や治療経過の予測のマーカーへ発展することを期待している。

発表雑誌

雑誌名:AIDS
論文名:DNA methylation profiling can classify HIV-associated lymphomas
掲載日:2013年12月13日

参照URL

http://journals.lww.com/aidsonline/pages/default.aspx

本件に関するお問い合わせ先

郵便番号:162-8655 東京都新宿区戸山1-21-1
国立国際医療研究センター血液内科 萩原 將太郎
研究所難治性疾患研究部:志村 まり

取材に関するお問合せ先

国立国際医療研究センター 企画戦略局 広報企画室
広報係長:三山 剛史(みやま つよし)
電話:03-5273-5258(直通) <9:00~17:00>
E-mail:tmiyama@hosp.ncgm.go.jp