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血清テネイシンC値は川崎病の治療法を決定するための新たなバイオマーカーとなる

2016年11月10日

『Circulation Journal』掲載

研究の背景

  1. 川崎病では発熱や目の充血、発疹など多くの症状が出現します。全身の血管に炎症をおこし、中でも心臓の筋肉に栄養を与える血管が壊れてコブのようなものができる心臓の合併症「冠動脈瘤」は、血管が破裂したり、心筋梗塞を引き起こして死に至ることがある重篤な合併症です。一度、巨大な冠動脈瘤ができてしまうと、それを治癒させる方法はありません。
  2. 川崎病の治療薬として、血液製剤「ガンマグロブリン」が用いられますが、約15%の人には無効です。そのような人達には、ガンマグロブリンに加えて別の治療薬の投与を始める必要があります

研究の概要

国立国際医療研究センターが、三重大学マトリックスバイオロジー研究センター等との共同研究で、川崎病の治療法を決定するための診断薬の開発に成功しました。川崎病は、日本で最初に報告された日本人に多い病気で、年間1万人以上の子どもが罹患し、急性期に適切な治療を受けないと、生命に関わる重大な心臓の合併症をおこします。

今回、開発したのは、血液検査によって「テネイシンC」の数値を測る診断法です。厚生労働省難病研究班で共同研究を行った結果、血液中のテネイシンCの数値が高いとガンマグロブリンが効きにくく、冠動脈瘤ができやすいことが明らかになりました。

この研究成果は日本循環器学会の機関誌「Circulation Journal」に2016年10月25日で掲載されました。

今後の展望

病院を受診したときにテネイシンCの数値が高ければすぐに、ガンマグロブリンに加えてステロイド等の他の薬剤治療をして、これまでよりも冠動脈瘤を防ぐことができる可能性があります。

発表雑誌

雑誌名:Circulation Journal
論文名:Serum Tenascin-C as a Novel Predictor for Risk of Coronary Artery Lesion and Resistance to Intravenous Immunoglobulin in Kawasaki Disease – A Multicenter Retrospective Study –
掲載日:2016年10月25日

参照URL

Circulation Journal(https://www.jstage.jst.go.jp/browse/circj

本件に関するお問合せ先

国立国際医療研究センター病院
責任著者役職名:小児科 医師
氏名:大熊 喜彰(おおくま よしあき)
電話:03-3202-7181(内線 5993)
FAX:03-3202-7364
E-mail:yokuma@hosp.ncgm.go.jp
〒162-8655 東京都新宿区戸山1-21-1

取材に関するお問合せ先

国立国際医療研究センター 企画戦略局 広報企画室
広報係長:西澤 樹生(にしざわ たつき)
電話:03-3202-7181(代表) <9:00~17:00>
E-mail:press@hosp.ncgm.go.jp