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研修を希望される皆さんへ

はじめに

当院の消化器内科は、国立国際医療研究センター病院のなかで最も大きな診療科です。3次救急を担う総合病院ならではの特性を生かし、common diseaseをはじめ、救急疾患、悪性腫瘍、内視鏡手術など多数の全般的な消化器疾患の標準治療を経験できる環境です。
当科の最大の特徴は4つあります。
第一に、消化管、肝臓、胆膵、化学療法の専門医師が揃っている点です。医長はハイボリュームセンターの勤務歴、大学病院での教職経験、専門分野での留学経験を持ち、専門に特化した機関での経験を持つ医師です。日々カンファレンスや議論を行い、偏見のない、ガイドラインに沿った標準的な治療を行っております。
第二に、総合病院の強みを最大限に生かした消化器診療が行える点です。大学病院に準ずる多数の診療科が揃っており、フットワークが軽いため、並存疾患の多い症例などのコンサルテーションがしやすい環境です。外科(上部外科、大腸肛門外科、肝胆膵外科)とのコミュニケーションは良好です。したがって、一部の特殊な疾患を除き、症例を他院に搬送することなく、診断から治療までの経過を自分の病院で完結できるため、重症例や大手術が必要な症例など、一連の経過を経験することができます。
第三に、救急診療の件数が多い点です。当院は救急科がアクティブであり、東京都内で救急車の搬送件数が最も多く、3次救急の受け入れは増えています。当科では、消化管疾患と診断された患者を24時間365日休まずに救急を受け入れています。消化管出血の受け入れは都内1位で、食道静脈瘤、潰瘍出血、胆管炎など様々な症例を経験することができます。(土日夜間の救急は、レジデントと上級医ペアで担当し、当番制となっていますのでご安心ください。)
最後は、様々な多職種連携の存在感が大きい点です。地域連携、緩和ケア、認知症、感染症、栄養などの多職種ラウンドなどのチームの他、国際診療部、臨床倫理カンファレンスなどが実働しており、コメディカルからも学ぶ点が非常に多いです。リスクの高い侵襲治療や悪性疾患の多い消化器内科には欠かせないチーム診療のシステムです。
このように、消化器内科の内外でサポートするスタッフが多く、レジデントの先生が難しい症例を一人で抱え込んだり、一人で悩んだりすることはありません。
消化器内科

後期研修プログラム(レジデント)の目的と具体的な流れ

当院の基幹プログラムは、2年間の初期研修の修了後に、後期研修(内科の専門研修)を行う3年間のプログラムです。実臨床を通して内科学、消化器内科学の基礎を学び、総合内科専門医を取得し、将来的には消化器疾患の専門医として、社会に貢献できる医師を養成することを目的としています。サブスペシャルティーである日本消化器病学会や日本消化器内視鏡学会、日本肝臓学会などの並行研修を行っていきます。
当科には当院の基幹のプログラムに配属される医師と、大学病院などの基幹プログラムの関連病院に配属される医師が混在します。所属プログラムにより、研修の日程や他施設での研修先が異なる場合がありますが、初期研修医の病院や所属プログラムの違いにより研修内容に不当な差別が生じることは全くありません。
1年目には主に当院で研修を行います。消化器内科疾患の診断と治療について学びます。消化器診療や総合内科当直などを通して総合内科の専門的な力を養い、専門医に必要な症例の蓄積も行います。入院業務では、病棟の専門チームをローテートし、集中して知識や経験を身に着けます。内視鏡研修は上部内視鏡検査からスタートし、マンツーマンや勉強会などを通して、内視鏡技術や読影の力を養います。また、治療内視鏡の介助なども行っていきます。1年目の後半からは習熟度に応じ、指導医の下で治療内視鏡に携わったり、大腸内視鏡検査もスタートします。腹部超音波検査は、専門医による指導の下で、通年経験を積むことができます。
2年目には他施設(主に地方病院)での研修を行います。1年間で2~3施設に赴き、1年目に学んだ臨床力で経験を増やします。3年目には、総合内科専門医に必要な症例作成を行います。1、2年目で身につけた診断やマネージメントの能力を発揮し、チームリーダーとしての力を養います。内視鏡検査の経験を増やし治療内視鏡の術者としての経験を増やしていきます。研修医の指導や、外来経験なども積んでいただきます。
すべての診療は、上級医や専門医の指導監督のもとに行います。

レジデントの3年の流れ

(あくまでも一例で、プログラムや個人により異なります)
レジデントの3年の流れ

臨床業務

レジデントの先生の主な業務はいろいろありますが、主だったものは(1)入院患者のマネージメント、(2)急患当番、(3)外来業務です。内視鏡や超音波の研修は通年で行っていきます。

  1. 入院患者のマネージメント
    当科は60床前後の病床を有しております。3~4つのチームに分かれ診療を行っています。専門分野の医長がチーム長となり、スタッフ、フェロー、レジデント、初期研修医からなる5、6名のチームとなり、カンファレンスや回診を行います。レジデントは3か月ごとにローテートし、集中して専門分野の入院症例を受け持ちます。入院患者さんの受け持ちは複数であり、常時、上級医と相談やディスカッションしながら治療方針を決めていきます。退院支援、栄養サポート、認知症や排尿ケア、緩和ケア、国際診療部(複数言語の通訳が常駐)など、診療をサポートする多職種のチームが多数あり、相談しやすい環境です。
    当科の最大の特徴として、専門チームとは別に、交代で「High Care Team(HCT)」の担当となることが挙げられます。HCTの担当の週は優先的に緊急入院や重症例、緊急処置などを担当します。頻回のカンファレンスや回診を行い、より濃密にチーム医療を行います。このように当番を割り振ることで、業務の緩急をつけ、急患や重症の患者さんの効率の良い診療にあたっています。
  2. 夜間のオンコール、総合診療科当直
    当院はいわゆる消化器内科の当直はありません。かわりに、週1回程度のオンコール当番(バックアップ)があり、院内・院外発症の急患に対応します。多くは、救急科が受けてくれた2次もしくは3次の消化器疾患の相談や入院です。上級医にいつでも相談できる体制になっております。
    このオンコールとは別に、総合診療科の診療に携わる機会があります。
    平日や当番日は忙しいですが、土日は病棟対応も含め完全当番制ですので、自己研鑽やリフレッシュがしやすい環境になっています。
  3. 外来
    新患外来、再診外来などの対応を行います。基本的には、いつでも上級医と相談できるようサポートしています。

●レジデント1年目の一週間(あくまでも仮の一例です)
 C=カンファ BU=バックアップ

 
午前 GS 外勤 化学療法当番 急患当番 GS エコー BU
午後   ERCP介助 CS ESD介助  
夕方   チームC
チーム回診
    消化管C
チーム回診
 
  BU 勉強会(任意)    

*夜間のバックアップ(急患当番)週1回程度
*土日祝日のバックアップ(24時間)は月2日程度
*総合内科当直 月1回程度(バックアップを兼ねる)
 土日は当番制なので、当番以外の日は病棟から呼ばれることはありません。

レジデント修了後の進路

後期研修を開始した時点で、修了後の進路が決まっている方(大学院や医局入局)もいますが、多くは、修了後の進路が決まっていません。研修中に興味のある分野や今後のキャリアプランを見つけ、個人の希望を尊重していきます。進路に悩む方には、相談や紹介も積極的に行っております。
(研修修了後の進路の例)

  • 当院にフェローとして残留
  • 出身大学や、そのほかの大学の大学院への進学
  • 大学医局への入局
  • ハイボリュームセンター(がん専門病院)などへの国内留学
  • ほかの一般病院での勤務
  • 異なる専門分野に行く(医系技官、公衆衛生大学院など)

学会、研究について

日常診療の中で疑問に感じた点や患者さんから学んだ事をテーマに、臨床研究や学会発表を積極的に行っています。支部会の症例報告だけでなく、国際学会や英語論文を作成する機会もあります。

専門医・学位の取得

当科は日本消化器病学会、日本内視鏡学会、日本肝臓学会の指導施設であり、内科専門研修に並行し、サブスペシャルティーに必要な研修を行うことができます。レジデント修了後に社会人大学院に入学し、当院での臨床を続けながら研究をおこない、学位を取得する制度もあります。

当科で後期研修を行った医師の感想

N先生

私は初期研修を経て、レジデントとして後期研修を行いました。 国立国際医療研究センター病院は都内有数の救急車台数を誇り、豊富な急性期疾患を扱う環境にあり、当時のレジデントの先輩方が活躍される姿を身近に感じ、ここでの研修がさらに自身のステップアップにつながると信じ、初期研修医から当院の後期研修医になる進路を選択しました。実際に後期研修の3年間では幅広い消化器疾患の管理や手技の経験をすることができ、消化器内科医としての基盤を形成する非常に有意義な期間でした。また、その中でも症例報告や臨床研究にも携わる機会があったことも貴重な経験であったと思います。

E先生

私は都外の病院で初期研修を行った後に国立国際医療研究センター病院で3年間の後期研修を行いました。現在は東京大学の大学院生として、胆膵疾患の診療業務や研究に携わっています。後期研修開始時点で進路は定まっていませんでしたが、3年間の研修の中で胆膵疾患の診療や、大規模臨床データの解析などに興味が沸き、現在の進路を選びました。高い専門性、豊富な症例数、質の高い指導など、国立国際医療研究センター病院の消化器内科には多くの強みがありますが、中でも、個々人それぞれがやりたいと思うことを実現させてくれる懐の深さが一番の魅力かと思います。