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心サルコイドーシスのFDG-PET/CT検査

心サルコイドーシスについて

 

 

 サルコイドーシスは、様々な臓器に肉芽腫を発症する疾患ですがその原因は不明です。発生頻度が高いのは肺門部のリンパ節、肺、眼、皮膚、唾液腺、心臓、神経、筋肉などで結核によく似た結節状の病巣“肉芽腫”(病理学では非乾酪壊死性類上皮細胞肉芽腫)を作ります。病変ができる臓器により目のかすみ、視力低下、せき、呼吸困難、不整脈など様々な症状が出ますが、無症状のことも多く、健康診断の胸部X線写真ではじめて指摘される患者さんも少なくありません。

 診断については2006年に日本サルコイドーシス学会から出された診断基準があります。眼病変で診断されることも多いですが、臨床的に問題になるのは肺と心臓の病変です。肺の病変は進行すると、せきや呼吸困難を引き起こします。肺の病変の診断には胸部CTが一般的に用いられます。

 心臓の病変は、様々な不整脈や心機能障害を引き起こし、予後因子として最も重要です。特に日本では心臓の病変の合併率が高く、その活動性の評価は治療を進める上で重要な指標となります。心臓やリンパ節など全身の病変の診断について診断基準の中では、ガリウムシンチグラフィー(Gaシンチ)が利用されてきました。Gaシンチの陽性適中率は高いのですが、感度が低いのが欠点です。

 一方、FDGは活動性を有するサルコイドーシスに集積し、病変の分布や病勢を評価するのに有用と考えられ、GaシンチよりFDG-PET/CTは感度が高く臨床的な有用性が高い検査です。FDG-PETによる心サルコイドーシスの診断は2012年から保険適応になり、2014年には新たなガイドラインも公表されました(1)。

心筋は脂肪酸と糖を利用する

心筋は脂肪酸と糖を利用する

生理的なFDG心筋集積の抑制

 ここで問題になるのは心筋の生理的なFDG集積です。心筋はエネルギー源として、脂肪酸、糖、乳酸、など様々な代謝基質を利用することができます。これは、糖しか利用できない脳と対照的です。通常の腫瘍を評価するためのPETの検査条件では、5-6時間の絶食で、心筋は糖を利用し生理的なFDG集積が見られることが多いです。絶食時間を十分に長くすると、血糖値が下がり、遊離脂肪酸が上昇し、心筋はエネルギー源を脂肪酸代謝にシフトし、FDGの生理的集積が低下します。

 この様に正常心筋への生理的なFDG集積を十分抑制した状態にしないと、心筋内にまだらに分布するサルコイドーシスの肉芽腫性病変を検出することはできません。

 十分な生理的集積の抑制を得るためには、複数の報告で、18時間の絶食を推奨しています。当科では他機関と協同で既知の心サルコイドーシスまたは心サルコイドーシスが疑われる患者さん165人で、ヘパリン静注により遊離脂肪酸を上昇させる方法(96人)と、18時間以上の絶食(69人)による心筋の生理的なFDG集積の抑制効果を比較し「18時間絶食法が有効」という結論にいたりました(2)。具体的には、前日夜7時頃までに夕食を終え、当日の朝食、昼食を絶食とし、午後2時頃から検査を始めるというスケジュールで検査をおこなっています。長時間絶食は、患者さんへの十分な説明と協力が必要となります。

 高脂肪低炭水化物食を用いる方法も心筋への生理的なFDG集積の抑制の方法として、大変有効とされています。(ただし、この場合は入院検査とし、検査食として供給しないと条件をコントロールするのが困難です。当科では行っておりません。)

 

 

 

心サルコイドーシスの所見の評価

 心筋病変の評価は、心臓のPET撮影を行い、心筋シンチと同様に、心筋長軸に沿って切り出し、短軸断層・長軸水平断層・長軸垂直断層の3軸断層像とブルズアイ画像を作成し、タリウムや脂肪酸などの心筋シンチ画像と比較読影します。FDGの限局性集積病変が、タリウムや脂肪酸画像の集積低下部と一致した典型例を提示します(図1)。

図1.60歳代女性。心サルコイドーシス再燃。長時間絶食で心筋の前壁、側壁に限局性のFDG集積が見られ、同部のタリウム・脂肪酸の集積が低下している。活動性の心筋サルコイドーシス病変を疑う。左MIP画像、右FDGPETの3軸断層画像と、タリウム・脂肪酸のSPECT像。

左MIP画像、右FDGPETの3軸断層画像と、タリウム・脂肪酸のSPECT像。

 

 

 MRIにより遅延造影病変として心サルコイドーシス病巣は検出可能で、診断基準にも記載されています。ステロイド治療後の変化は乏しく、ペースメーカーや埋め込み型除細動器はMRIの障害となりますが、PETでは支障はありません。

検査前の注意事項と説明書

 不整脈発作など危険な合併症があるため、心筋サルコイドーシスの活動性の診断は重要で、2012年から保険適応となりました。

 前日夕方早めに、夜7時ころまでに通常通りの夕食を食べます。この後は、水あるいは甘くないお茶しか口にできません。朝食、昼食は食べてはいけません。18時間絶食後、検査は午後2時前後に予定されます。

 この検査を依頼される先生におかれましては、上記の注意事項につきまして、十分に患者さんにご説明くださいますよう、お願い申し上げます。

心サルコイドーシスのFDGPET/CT検査説明書 兼 予約票(PDF:139 KB)

参考文献

  1. Ishida Y, et al.Recommendations for FDG PET imaging for cardiac sarcoidosis: Japanese society of Nuclear Cardiology Recommendations.Ann Nucl Med 28時39分3-403, 2014
  2. Morooka M, et al.Long fasting is effective in inhibiting physiological myocardial 18F-FDG uptake and for evaluating active lesions of cardiac sarcoidosis.EJNMMI Res.4(1).PMID:24382020, 2014
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