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オクトレオスキャン

神経内分泌腫瘍とソマトスタチン受容体シンチグラフィー

膵臓や消化管、あるいは胸腺・肺などのカルチノイド腫瘍、グルカゴノ―マ、インスリノーマなどの神経内分泌腫瘍(Neuroendocrine tumor: NETと略されます)は、増殖したり転移したりする悪性腫瘍の特徴と共に、ホルモンを生産したり、ホルモンに感受性を持つなど独特の機能を示す機能性腫瘍という特徴があります。多くの神経内分泌腫瘍は消化管ホルモンであるソマトスタチンに感受性がある(受容体がある)ことから、ソマトスタチン類似物質が治療薬として使われています(サンドスタチン®など)。オクトレオスキャンは、ソマトスタチン類似体に放射性物質を付けた薬剤で、ソマトスタチン受容体に結合し、受容体の分布を画像化して診断する検査です。神経内分泌腫瘍の機能性腫瘍としての特徴を画像で診断する検査です。ソマトスタチン受容体シンチグラフィー(Somatostatin receptor scintigraphy: SRSと略されます)とも言います。病巣検出力が高いことから、治療前の病巣診断、転移・再発診断などに使われます。ソマトスタチン類似薬による治療の適応判定にも用いられています。

ソマトスタチン類似体に放射性物質を付けた薬剤を注射し、内部から放射線照射してNETを治療するという、放射性核種標識ペプチド治療(Peptide receptor radionuclide therapy;PRRT)が欧米ではよく行われ、良好な治療成績が報告されています。そして、そのPRRTに感受性があるかどうかを画像で調べる検査がオクトレオスキャンで、す。更にSRSは、新しいソマトスタチン類似薬などの適応判定にも用いられています。悪性腫瘍の診断によく使われるFDGPET/CTとの関係については、後述をご参照ください。 (注:ガストリノーマや非機能性のNET、カルチノイドなどに比べ、インスリノーマは検出感度が下がることが知られています。)

オクトレオスキャンの画像検査について

オクトレオスキャン®はインジウム111という放射性物質で標識された診断薬剤です。

(インジウム111標識ペンテトレオチド)注射すると体内でソマトスタチン受容体に結合し、放出されるガンマ線を検出して画像を作ると、ソマトスタチン受容体分布の画像を作ることができる核医学診断薬剤です。1994年に米国で承認されて以来、世界30数カ国で保険承認されているにもかかわらず日本では長らく未承認でした。私どもは、2011年から患者さん・主治医の要望に応え、医師個人輸入により、この検査を臨床研究として実施してきました。2014年、富士フィルムRIファーマ株式会社が国内販売権を取得し、2015年9月に保険承認を取得し、2016年1月より販売開始されました。世界から20年遅れですが、このたび保険承認された画像検査として実施できるようになりました。

PRRT(放射性核種標識ペプチド治療)も保険承認されていませんが、こちらは放射性物質の取り扱い規制の問題が大きく、現状では国内での実施は非常に困難です。最近、特区などの規制緩和を利用した方策が、学会や規制当局と検討されており、進展が期待されています。

オクトレオスキャンの画像検査の実際

オクトレオスキャン検査の実際と注意事項の説明です。

  1. 当院核医学受付03-5273-6881に電話し、検査予定日を決めていただきます。続いて画像検査依頼書兼診療情報提供書*、をFAXで送信してください(核医学受付ファックス 03-5273-5251)。CTやMRIなど参照画像のCDをご用意ください。ここまでは主治医の先生にお願いしてください。注意事項や検査の説明書もダウンロードできます。(*病院HP→医療関係の方へ→画像検査のご案内。注意事項・説明はこのページと同じです。)  オクトレオスキャンは火曜日までに発注すると、翌週の火曜日または水曜日に薬が届き注射し、それから2日間(当日および翌日)の検査予定です。2日かかる検査ですので、ご注意ください。
  2. サンドスタチンなどソマトスタチン受容体に作用する薬物による治療を受けている場合は、検査前に一定期間の休薬が望ましいと言われています。治療薬の作用が消えてからでないと、体内のソマトスタチン受容体の状態を正しく診断することはできないと考えるからです。長時間作用型の薬剤の場合、注射から3~4週間時間を空けて検査する方がよいと言われています。一方、休薬しなくても十分診断できた例もあり、実際どのくらい厳格にこの注意を守るべきかはっきりわかっていません。主治医とご相談ください。
  3. 本検査に食事制限は一切ありません。予定時間に遅れないようにご来院ください。
  4. 検査では、放射性薬剤を静脈注射します。このとき、生理食塩水により、注射器内に残っている放射性薬剤を洗い流すという操作をします。
  5. 注射4~6時間後に撮影をします。SPECT/CTという機械で、平面画像だけでなく横断画像とCT画像を一緒に撮影します。1時間くらいかかります。これで一日目の検査は終了です。
  6. 翌日、注射24時間後の撮影を同様に1時間くらいかけて行います。画像を確認して終了です。検査終了後、規定の検査料を病院の会計でお支払いください。
  7. 注射後、余分なお薬は腎臓から尿に排泄されます。6時間で50%、24時間で85%が腎臓から排泄されます。また腸管から糞便にも排泄されます。胆道から腸管に2%程度排泄され、24時間以降の画像では胆嚢、腸管が描出されます。余分なお薬の排泄を促進することで、被曝を減らすと共に、バックグラウンドの低い良好な画像を撮影することができます。このため、水分をなるべく多く摂取していただくこと、便秘している場合は、下剤を服用していただき、二日目に来院される前に排便していただくことが望ましいとされています。
  8. 放射線被曝について。本検査による放射線被曝ですが、オクトレオスキャンの一回検査あたりの全身の実効線量は13.0 mSv/111MBq, FDG-PE/CT の全身の実効線量は10-15.0 mSv/370MBq です。いずれも、健康被害はまったくおきない線量です。(参考資料に放射線被曝についての説明図をお示しします。)
  9. 通常、検査終了翌日に主治医宛に、検査結果報告書と画像の入ったCDを発送します。患者さんご自身が主治医用とは別に報告書や画像CDを希望される場合は、別途手数料をいただく病院規定がありますのでご承知ください。

FDG-神経内分泌腫瘍のオクトレオスキャンとFDGPET/CT検査

オクトレオスキャンは、ソマトスタチン受容体の有無を調べる検査で、これによりNETの機能性腫瘍としての特徴を良く診断することができますが、これで腫瘍全体を正しく診断できるとは限りません。現在、腫瘍診断の世界標準となっているのはFDG-PET/CT検査です。そしてNETの増殖する癌としての特徴をよく診断できるのがFDG-PET/CT検査です。

NETは、2010年のWHO分類では、増殖の程度により、3種類に分類されました。もっとも増殖の程度が低く、機能性腫瘍の特徴が発揮されているグレード1(G1)のNETの場合はソマトスタチン受容体がたくさんあるので、オクトレオスキャンが良く集まり、明瞭な画像で診断できます。しかしFDGはあまり集まらず、FDG-PET/CTではよく診断できません。グレード2(G2)は、非常に幅が広く、オクトレオスキャンが良く集まる場合が多いのですが、腫瘍によってはFDGの方が良く集まり診断しやすい場合があります。グレード3(G3)は、神経内分泌癌とも言われ、増殖の程度が強く、機能性腫瘍の特徴が目立たなくなり、オクトレオスキャンよりもFDGが良く集まり、明瞭に診断できます。これらの関係は、以下の図に示すことができます。

このように、NETと言っても患者さんによっては、オクトレオスキャンだけでなく、FDGPET/CTと併用したほうが全貌を正しく診断できる場合があります。FDGPET/CTが必要な場合は、本ホームページの「PET-CTって?」の部分をご参照ください。

日本神経内分泌腫瘍研究会のガイドラインにもFDGPET/CTとオクトレオスキャンは記載されています。同部分の抜粋を参考資料に添付しますので興味のある方はごらんください。

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 注)SRS:ソマトスタチン受容体シンチグラフィ、オクトレオスキャンのこと。
  Ki-67指数:病理組織標本を特殊染色し、顕微鏡下に陽性細胞の割合を調べて求められる指数で、細胞増殖の指標である。

もっと詳しく知りたい方は、以下の参考資料をご覧ください。

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