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研修を希望される皆さんへ

国立国際医療研究センター 総合感染症科の背景

感染症のフィールドは、個人の患者の健康の問題から地域・医療施設内の問題へ、そしてグローバルレベルへと大きく広がっています。個別の疾患の診断治療のみならず、予防・公衆衛生的な対策まで対象は多岐にわたるります。感染症の問題に適切に対応するには、こうした諸要素間の相互の連関を見据えた包括的な取り組みが必要です。国立国際医療研究センター 総合感染症科は

  1. 臨床感染症のclinical referral centerとして機能する
  2. 感染症領域の人材育成/トレーニングへの注力
  3. 情報の発信源となりネットワーキングに努める
  4. 国内外の感染症の研究拠点となる
  5. 実地疫学の実践

の5つを活動の柱に据え、国内・国外の感染症に関す包括的・多面的・先進的な取り組みを行っています。

入院・外来での診療

総合感染症科は一般感染症・輸入感染症の入院・外来診療、診療科横断的な感染症コンサルテーションを行うと共に、トラベルクリニックで渡航者の渡航前から帰国後までの健康診断や予防接種、慢性疾患管理指導を行っています。平成28年度の新外来患者数は4,603人、外来患者延べ数は14,551人でした。

総合感染症科では、主治医として市中感染症・医療関連感染症、免疫不全者の感染症、輸入感染症の診療を積極的に行っています。1例として、2014年夏の代々木公園を中心としたデング熱の国内アウトブレイクでは19人の患者を診療、うち16人が当科で入院となりました。多くの輸入感染症例を診療しています。マラリアやデング熱は年間15~20例程度診療しており、この症例数は国内の医療機関で最多です。ときにジカ熱、ロアロア、ブルセラ症、サルマラリアなど稀な輸入感染症も診療を行っています。輸入感染症の診療の修練を包括的に出来る、国内でも数少ない施設です。またスタッフは多剤耐性菌感染症、血液疾患・リウマチ膠原病などの免疫不全者の感染症の診療の経験も豊富です。日本で最も活気のある感染症科といってよいでしょう。

当科では「先ずは感染症医である前にまともな内科医である」ことをモットーに、問診・身体診察、グラム染色、培養検査といった伝統的な感染症診療を重視しています。多くの感染症は、これらをきちんと行う事で対処可能です。そのうえで迅速・正確な微生物およびその抗微生物薬への耐性機構の検出ために、質量分析、Nanosphere Verigine system、Gene Xpert、Film Arrayなどの全自動遺伝子解析装置、IMPカルバペネマーゼ検出の迅速診断キット、Multiplex PCR、16s rRNAシーケンスなどの先端技術を用いて診療および研究を行っています。国立国際医療研究センター研究所、国立感染症研究所とも密に連携しています。

トラベルクリニック

トラベルクリニックでは総合感染症科の医師が対応に当たっています。国立国際医療研究センター病院のトラベルクリニックは国内最大規模であり、予防相談では未承認ワクチンも取り扱っており、また検疫所と連携して黄熱ワクチンの接種も可能です。

トラベルクリニック

当院は国内で3カ所指定されている特定感染症指定医療機関の一つとして新感染症病棟を有し、総合感染症科の医師が各診療科の医師と共同で診療を担当します。エボラウイルス病やMERSについては、一類感染症等の厚生労働科学研究の研究班の中心組織として研究を指揮し、なおかつ国際医療研究開発事業 「医療機関等における感染症集団発生時の緊急対応方法の確立及び対応手法の普及・啓発に関する研究」(Infectious Diseases Response Service: IRS)の施行施設として、院内での訓練だけでなく、全国の一類感染症指定医療機関を訪問し机上訓練などのワークショップ開催、「ウイルス性出血熱ー診療の手引きー」の作成、WHOのGOARN参加組織としての専門家派遣、様々な活動を行っています。また、上記の活動を通じて感染症危機管理の出来る人材の育成にも関わっています。

院内感染対策・医療疫学

総合感染症科は医療関連感染対策に積極的に関わっている。たんに業務をこなすのではなく、実践の中で医療疫学の手法を習得し実践しています。このような背景もあり、研修を受けている若手医師には、院内感染対策業務のみを行う期間を割り当てています。加えて、病院内でのアウトブレイク対応・疫学調査、マニュアル整備、サーベイランス業務、これらの取り組みに関連した研究を数多く行っています。これらの業務の成果は積極的に学会発表を行っています。感染対策の成果を米国や欧州の学会で発表するだけでなく。院内感染防止対策の結果明らかになった知見を海外のMajor Journalに多数発表しています。

国際感染症対策とグローバルヘルスへの取り組み

DCCは国際的な感染症対策に積極的に関わっている。新興再興感染症対策ではWHOとの関わりの中で、世界各国の施設と連携・協力しながら取り組みを行っており、WHO本部あるいはWHO西太平洋オフィスの要請に応じて、メンバーを短期専門家として調査や会議に派遣しています。国際協力機構(JICA)からも要請を受け、研修受け入れやメンバーの短期専門家としての派遣を行っています。またベトナムでは感染症研究国際展開戦略プログラム(J-GRID)の参加施設の一つとして、医療関連感染症・抗菌薬耐性菌に関する研究プロジェクトを進めています。

また2017年4月には国立国際医療研究センター 国際感染症センターがWHO Collaborating Centerに認定されました。この活動の中心を総合感染症科の医師が担っています。

ベトナム ホーチミン市での熱帯病研修
ベトナム ホーチミン市での熱帯病研修

研究

総合感染症科は研究手法の習得と実際のプロダクトの作成に大いに重点を置いています。よって総合感染症科フェローには少なくとも半年間は臨床研究のためのリサーチ期間を割り当て、研究に専心させています。この期間は外来以外の臨床業務はなく、リサーチに集中することができます。センター内では競争的研究費の公募も有り、良いProposalが出来ればフェローも研究費の獲得が可能であり、実際にフェローが研究費を獲得して研究を行っています。指導体制も充実しており、世界に向けて自分たちのデータを発信していくことができます。

総合感染症科は臨床の現場を何よりも大切にし、そこで得られた気付きを研究の形で一歩ずつ洗練し積み上げ、汎用性の高い成果(論文)にすることを目標としています。東北大学大学院との連携講座(新興・再興感染症)も2015年4月から開始となった。これにより医師は当科に所属しつつ博士号を目指す道が開けることとなりました。

米国の感染症・医療疫学の学会であるID weekでのスナップ

米国の感染症・医療疫学の学会であるID weekでのスナップ

ひと言

総合感染症科は国内外の感染症対策のLeading Centerを目指して頑張っています。また総合感染症科での研修出身者は皆、感染症の各領域のリーダーとして頑張っています。当科で研修をしていただければ、世界のどこでも活躍出来る独立した専門家としてしっかりとキャリアを積むことが出来ることを保証します。

内科レジデント(総合感染症科コース)、総合感染症科フェロー、客員研究員、プロジェクトベースの特任研究員の募集を随時行っています。興味のある方はいつでも遠慮無くご連絡ください。

連絡先:

大曲 貴夫
国立国際医療研究センター病院 総合感染症科
〒162-8655
東京都新宿区戸山1-21-1
TEL:03-3202-7181(代表)
FAX:03-3207-1038
E-mail: nohmagari@hosp.ncgm.go.jp