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ご挨拶

中央検査科長 猪狩亨
中央検査部門長 猪狩亨

当センター病院の中央検査部門の歴史は古く、当院は戦後GHQの医療制度改革の一環として検査室中央化を試験的導入された最初の病院(国立東京第一病院)であります。当院での開設は昭和24年10月で、東京大学の中央検査部(臨床検査部)開設に先んずることおおよそ5年でありました。それ以前は各診療科、大学でいえば各教室ごとに検査機器と技師を擁して独自の検査を行っていたわけですが、精度管理や基準の統一などの観点からは望ましいものではありませんでした。国内では平成のはじめくらいまでは中央検査部門以外の各科にも検査機器は残っており、夜間の検査はICUの簡易検査を使わせてもらったり、緊急の輸血時は研修医自らがクロスマッチを行ったりした記憶がございます。これは結果の信頼性という点からみればきわめてお粗末なものであったわけですが、検査の大変さを実感するという意義はあると思われ、検査オーダー画面でとりあえずチェックを入れられるだけ入れる、といった風潮をみる昨今、不要な検査を減らす意味はあったのではないかと往事が回顧されます。米国では早くから医学的検査の中央化がはかられ、大きく臨床病理Clinical Pathologyと解剖病理Anatomical Pathologyにわかれておりましたが前者が現在の中央検査部門、後者が病理診断部門へと連なっております。

現代の中央検査部門に求められるものは、単に検査結果の精度・信頼性を向上させればよいということでなく、検査全体の流れの質の維持、すなわち検体取り違え防止の対策から、毒劇物等の薬品管理、職場内での環境アセスメント、機器の整備点検とその記録、結果報告までの時間短縮、報告結果の臨床側での確認漏れの追求、利用者からのフィードバックの解析までのあらゆることが含まれています。これを臨床検査の国際規格としてまとめたものが国際標準化機構(ISO)の認証ISO15189であり、当センター病院中央検査部門は2015年9月に臨床検査部門、病理検査部門ともに認定を受けております。認定後は粛々とその品質維持に努めておりますが、2018年春には中央検査部門内の臨床検査室は臨床検査科として、臨床病理室は病理科としてそれぞれ診療科の一部門に昇格し、専任の医師を配し臨床の一翼を担っております。これからの中央検査部門は「顧客である医師へのサービス提供」という観点を越えて、検査結果の解釈や検査方法の提言など臨床診断への参画をすすめ、診断に至る検査の適正化、効率化を図ると同時に不要な検査を抑制するといった試みもなされるべきでしょう。今後の診療報酬改定で「検査の適正化対策加算」といった項目が設けられる可能性がないとはいえません。私共はそのような医療経済的な面でも先鞭をつける部署でありたいと願い、所属の医師および技師ともども日々研鑽に励んでおります。今後とも皆様の御指導御鞭撻をよろしく御願い申し上げます。