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多発性嚢胞腎について

常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)とは慢性腎臓病(CKD)の原疾患の一つです。
左右両方の腎臓に大小様々な大きさの嚢胞(嚢胞液という液体の詰まった袋)ができ、それが増えて大きくなっていく、最も頻度の高い遺伝性の嚢胞性腎疾患です。

医療機関を受診している患者さんの数を基に推測した結果から、ADPKDの患者さんは4000人に1人の頻度であり、国内では約31,000人いると報告がされています。嚢胞は腎臓だけでなく、膵臓や肝臓にも認められ、高血圧、脳動脈瘤、嚢胞感染などの合併症を伴う頻度が高いことも知られています。

診断は超音波検査やCT、MRIなどの画像検査によって行うことができます。

病態の経過について

adpkd

この図は、一般的なADPKD患者さんの病態の経過を示したものです。
嚢胞は小児の頃から形成が始まり、年齢とともに増大していきます。

嚢胞の増大に伴い、腎実質の量は徐々に減少していきますが、残っている正常なネフロンが代償的に働くことで、多くの場合、40歳頃までは腎機能は正常に保たれます。
30~40歳代までは、ほとんど無症状ですが、嚢胞が大きくなるにつれて、お腹が張る、血尿、結石、尿路感染症などがあらわれることがあります。

さらに病態が進行し、腎臓が大きくなると、残っているネフロンでは腎機能を代償しきれなくなり、40歳頃より腎機能が低下し始めます。

ADPKDは末期腎不全に至る主要な遺伝疾患であり、60歳代までに約半数の患者さんが、末期腎不全、透析に至ると推測されています。
そのような背景から、早期の段階で適切な診断を受け、透析に至るまでの期間を延ばす治療を行うことが重要となります。

ADPKDの治療方法について

2015年1月より多発性嚢胞腎は「難病医療費助成制度」の対象疾患となっております。認定されるにはいくつか条件があるため、検査が必要です。まずは、当院に受診して頂く事をお薦めします。
また、進行を遅らせる治療薬として、バゾプレッシンV2受容体拮抗薬であるトルバプタン(サムスカ)が2014年3月より保険適用されています。
このお薬は腎臓での「バソプレシン」のはたらきを抑え、嚢胞が増大する速度を抑える効果のある薬です。この薬を継続して服用することで、腎臓の働きが低下して腎不全(透析)になる時期を延ばすことが期待されます。

当院での治療について

当院には「多発性嚢胞腎協会」正会員の医師が在籍しており、多発性嚢胞腎の治療が受けられる施設です。どんな些細なことでも、気になることがございましたら、当院までお気軽にお問合せください。

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