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臨床研究の歴史

がんの再発診断の臨床研究

複数の病院と共同し、頭頚部癌の放射線化学療法後の再発診断をFDG-PETと11CコリンPETで比較する研究を行いました。コリンPETでは脳底部への再発診断にメリットがありました。FDG-PETでは、1回の検査で再発が無いと診断したとき、その診断はいつまで有効か、という新しい視点の解析をおこない、4ー6ヵ月後には2回目の検査を行うべきであるという結論を得て報告しました。本研究で、伊藤公輝 非常勤医師が、第8回日本核医学会研究奨励賞を受賞しました。
また、国内多施設共同研究で、胃癌、胆道がんなどの診断研究も実施しました(1,2)。

メチオニンPET、コリンPETによる脳腫瘍、脳腫瘍再発診断の研究

11Cメチオニン、11Cコリンは正常脳への集積が低く、PETにより、腫瘍を高いコントラストで描出することができ、診断精度が向上します。原発性脳腫瘍や、ガンマナイフ治療後の放射線壊死と再発診断のために有効です。院内および他院の脳神経外科やガンマナイフセンターからの紹介を受けて、検査実績を重ねています(3)。

メチオニンPET、FDG-PETによる心筋梗塞の診断

医療センターでは、循環器科とともに、多数の心臓核医学検査を実施しています。急性期心筋梗塞の再還流療法後の障害心筋に、1ー2週後をピークとして11Cメチオニンが集積し、数ヶ月の経過で消失します。これは心筋障害部の血管新生を反映している可能性があり報告しました。メチオニンによる障害心筋の再生能がわかるかもしれません。心筋シンチによる血流や脂肪酸代謝の診断、糖負荷FDG-PETによる生残心筋の診断、と組み合わせ多角的な心筋梗塞の機能画像診断が出来るようになり、更なる研究を進めています(4)。本研究で、諸岡都医師が第7回日本核医学会研究奨励賞を受賞しました。

オンコシードのシンチグラフィの開発

前立腺癌の小線源治療(オンコシード)のガンマカメラによる新しいモニタリング法、を開発しました。肺などに遊走した小線源の検出感度は、従来のX線写真がわずか35%に対し、シンチ検査は100%と極めて高い感度で小線源の移動を検出することが可能になりました。更に、線源刺入時の前立腺の腫脹の程度と線源の遊走が相関することを報告しました(5,6,7)。

炎症性疾患の診断研究

当院の特徴は、エイズクリニカルセンターに代表される、AIDS・結核などの感染症や膠原病など多彩な炎症性疾患、そしてパワフルな救急部を背景にした様々な急性期疾患です。2005年から稼動したPET-CTを駆使し、悪性腫瘍のみならずさまざまな炎症性疾患へのFDG-PET・CTの応用にチャレンジしました。不明熱やAIDS、結核、リウマチ、サルコイドーシスなど、これまで研究されていなかった疾患の多彩な所見を研究し、PETが様々な疾患の診断に役に立つことを報告しました。炎症診断はFDG-PETの臨床研究の新しいフロンティアとして期待されています(8-13)。

PET/CT検査受診者の検査室での心理的負担についての研究

病院の検査室の環境は、日常生活からかけ離れた異質な空間で、みなれぬ機械、装置に長時間拘束され、受診する方にとっては不安と緊張を強いられると思います。人によっては、閉所恐怖症のような強い反応を示したり、緊張感が迷走神経反射を誘発したりします。しかし、これまで、検査室の心理的負担をどのようにして改善するかという試みは、小児科あるいは小児病院では考えられるようになりましたが、一般病院ではほとんど行われておりません。
今回、PET・CTの更新に際し、新しいPET検査室およびPET・CT本体にメーカーのGEヘルスケア・ジャパン社と担当の福島印刷工業のご尽力により、デザイン内装シートを貼り付けることとしました。これを機会として、検査を受ける方が、検査のどの段階で、どのようなことに緊張や不快感を感じ、どうすればより快適な検査環境を作ることができるかを調べるために、アンケート調査を行うことを早稲田大学と共同で企画しました。
2012年1月21日第76回日本核医学会関東地方会にて発表した研究結果の概要をお示しします。環境デザインが特に女性の不安感の改善に貢献することがわかりました。

  • 「調査の概要」は関連ファイルをご覧ください。

発表論文

  1. Ito K, Yokoyama J, Kubota K, Morooka M, Shiibashi M, Matsuda H. Eur J Nucl Med Mol Imag. 37(7):1318-1327,2010.
  2. Nakamoto Y, Togashi K, Kaneta T, Fukuda H, Nakajima K, Kitajima K, Murakami K, Fujii H, Satake M, Tateishi U, Kubota K, Senda M. Jpn J Clin Oncol. 39(5):297-302, 2009.
  3. Hara T, Kondo T, Hara T, Kosaka N. J Neurosurg. 99:47分4-479,2003.
  4. Morooka M, Kubota K, Kadowaki H, Ito K, Okazaki O, Kashida M, Mitsumoto T, Iwata R, Ohtomo K, Hiroe M. J Nucl Med. 50(8):1283-1287, 2009.
  5. Kono Y, Kubota K, Mitsumoto T, Tanaka A, Ishibashi A, Kobayashi K, Ito K, Itami J, Kanemura M, Minowada S. J Nucl Med. 2008;49(4):541-5.
  6. Morooka M, Kubota K, Kono Y, Ito K, Kurihara K, Mitsumoto T, Sato T, Oshiro Y, Aruga T, Hasuo K, Kanemura M, Minowada S. Clin Nucl Med. 34(7):466-469,2009
  7. Kono Y, Kubota K, Aruga T, et. al. Jpn J Clin Oncol 2010 July 14 Epub.
  8. Kubota K, Ito K, Morooka M, Mitsumoto T, Kurihara K, Yamashita H, Takahashi Y, Mimori A. Nucl Med. 23(9):783-791, 2009.
  9. Ito K, Morooka M, Kubota K. Clin Nucl Med. 34(11):821-822,2009.
  10. Katagiri D, Inoue T, Katsuma A, Masumoto S, Minami E, Hoshino T, Shibata M, Tada M, Nakamura T, Kubota K, Hinoshita F. Clin Nephrol. 2010 Feb;73(2):163-166.
  11. Testempassi E, Kubota K, Morooka M, Ito K, Masuda-Miyata Y, Yamashita H, Ito K, Mimori A, Kuroki H. Ann Nucl Med. 2010, 24;421-5.
  12. Ito K, Kubota K, Morooka M, et al. Nucl Med Commun 2010, 31;691-8.
  13. Kubota K, Nakamoto N, Tamaki N, Kanegae K, Fukuda F, Kaneda T, Kitajima K, Tateishi U, •Morooka M, Ito K, Minamimoto R, Murakami K. Ann Nucl Med.25(5):355-364, 2011,

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