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放射線治療

放射線治療後の晩期合併症には、放射線肺臓炎、心疾患のように命に関わる疾患から、皮膚の変化、皮膚の痛み、リンパ浮腫など日常生活に関わる変化が知られています。最近は照射の技術が進歩し、できるだけ晩期合併症を減らす工夫がされていますが、治療後数年経ってから自覚する息切れや胸痛などには注意が必要です。また、乳がん治療後に新たながんを発症して放射線治療を受ける場合には、乳がん治療でどこにどれだけの量の放射線をあてたかという情報が重要になります。

心臓への影響

心臓に放射線を当てた場合、心筋梗塞が増加したという欧米の報告があります。心臓への影響は放射線治療を終えてから10~20年以上経過してからでてきます。日本人では、欧米と比べると心筋梗塞のおきる頻度は低いですが、放射線治療の技術の進歩によって、心臓への影響を可能な限り避けるように工夫されています。

肺への影響

肺への影響として、放射線肺臓炎があります。一般的な肺炎は細菌の感染によって起こりますが、放射線肺臓炎は放射線治療による肺の障害であり、聞きなれない言葉ですが、肺炎とは区別して「肺臓炎」と呼んでいます。放射線がなるべく肺へ当たらないようにすることによって発生を抑えることができるため、重症化することはまれです。しかし、放射線治療中から終了後2ヶ月以内に起きる場合は要注意ですので、息切れや咳、発熱などの症状が出た場合は早めに医療機関を受診しましょう。
また、肺への放射線治療後に喫煙すると、肺臓炎だけでなく、肺がんの発症率が高くなることが知られています。

性への影響

放射線治療の影響で皮膚が硬くなり、性感が落ちることがあります。話しにくいことかもしれませんが、困りごとがあれば医療スタッフや相談窓口に相談してみてもよいかもしれません。

こちらのサイトもぜひご覧ください。
認定NPO法人キャンサーネットジャパン もっと知ってほしいがんと生活のこと
https://www.cancernet.jp/seikatsu/

参考資料:N Engl J Med. 2013; 368: 987-998.