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COVID-19関連論文


当院では、いわゆる第1波のときから新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者を受け入れ、診療を行ってきました。救急科では主に救急搬送患者の初期診療と、ECMO管理などを要する最重症患者のケアを担当していました。また同時に、ほかの傷病による救急搬送患者を少しでも多く対応するため、救急診療体制の維持に努めました。
救急科が経験したCOVID-19患者の経過や対応の一部は、他の施設や将来に役立つよう、論文として報告しています。ここでは、救急科が大きく関わった論文を紹介します。

 

<2022年度>

  • 重症COVID-19肺炎の急性期の循環動態は比較的安定している~単施設・症例対象研究
    船登 有未, 松田 航, 植村 樹, 小林 憲太郎, 佐々木 亮 , 岡本 竜哉, 木村 昭夫.
    日救急医会誌. 2022; 33: 474-81.
    2022; 33: 474-81.
    https://doi.org/10.1002/jja2.12739
COVID-19は一般的な重症肺炎と比べて、呼吸不全が重篤な割に循環不全はそれほど重症でないことが多い印象がありました。本研究では重症COVID-19の循環動態の特徴をCOVD-19ではない重症肺炎と比較し、COVID-19では循環不全が比較的少ないことを示しました。


  • 救急外来で偶発的に診断した新型コロナウイルス感染症の検討
    山本 裕記, 船登 有未, 小林 憲太郎, 佐々木 亮, 木村 昭夫.
    日救急医会関東誌. 2022; 43(4):101-106.
    KANTO Journal of Japanese Association for Acute Medicine. 2022; 43(4):101-106.
    https://doi.org/10.24697/jaamkanto.43.4_101
COVID-19流行期、救急搬送患者の中にはCOVID-19そのものとは異なる症状で来院されたものの、検査によって偶発的にCOVID-19に罹患していることが判明するケースも多くみられました。

このような中で、感染対策を行う上で検査前からCOVID-19の可能性があるかどうかを見極める必要があり、我々はチェックリストを用いてCOVID-19の蓋然性を評価していました。本研究はそのチェックリストの妥当性を検証したものです。

  • デクスメデトミジンにより洞調律のまま心停止をきたした重症COVID-19の一例
    杉山 茉祐, 関原 圭吾, 岡本 竜哉, 茂野 絢子, 柴崎 貴俊, 福田 有, 瓦 安迪, 木村 昭夫.
日本救急医学会関東地方会雑誌. 2022; 43(3):72-75.
KANTO Journal of Japanese Association for Acute Medicine. 2022; 43(3):72-75.
https://doi.org/10.24697/jaamkanto.43.3_72


デクスメデトミジンは集中治療室で頻用される麻酔薬の一つですが、心拍数が低下するという特徴があります。特に基礎疾患が無く心疾患のリスクは低いと考えられたCOVID-19の患者さんで、デクスメデトミジンによる徐脈が生じた症例です。
幸い僅かな時間で心停止から回復、人工呼吸器を外してICUを退出することが出来ましたが、注意喚起として経過を報告しています。

 

  • 重症COVID-19におけるデルタ株流行の影響と予後:単施設後方視研究
    Sekihara K, Shibasaki T, Okamoto T, Matsumoto C, Ito K, Fujimoto K, Kato F, Matsuda W, Kobayashi K, Sasaki R, Uemura T, Kimura A, Sugiyama H, Kokudo N.
    Poor prognosis of patients with severe COVID-19 admitted to an infectious disease intensive care unit during the pandemic caused by the Delta variant in Japan.
    Glob Health Med. 2022.
    https://doi.org/10.35772/ghm.2021.01121
デルタ株流行時は人工呼吸器を要するCOVID-19の患者さんが増え、多くの方が亡くなられた時期でした。デルタ株流行期に当院ICUに入院したCOVID-19患者さんの経過と、その予後不良因子をまとめました。

 

Actual situation of handling Tokyo 2020 Games-related patients at a designated hospital during COVID-19 pandemic
Global Health & Medicine 2022;4(4):230-232.
https://doi.org/10.35772/ghm.2022.01009.

2021年の東京オリンピック・パラリンピックはCOVID-19流行期に開催されたため、医療を必要とした関係者の診療にも、特別な感染管理を行いながらの対応が求められました。当院では東京オリンピック・パラリンピック関係の患者さんを受け入れるため、救急部門を窓口とした専用の診療体制を整え、31名の関係者の診療を行いました。
 

<2021年度>

  • COVID-19患者のECMO管理中に人工肺排気口からウイルス漏出が起こりうる
    Ogawa T, Uemura T, Matsuda W, Sato M, Ishizuka K, Fukaya T, Kinoshita N, Nakamoto T, Ohmagari N, Katano H, Suzuki T, Hosaka S.
    SARS-CoV-2 Leakage from the Gas Outlet Port during Extracorporeal Membrane Oxygenation for COVID-19.
    ASAIO J. 2021;67(5):511-516.
    https://doi.org/10.1097/mat.0000000000001402
最重症の呼吸不全をきたしたCOVID-19に対して体外式膜型人工肺(ECMO)が使用されることがありましたが、機器の構造上、血中のウイルスが環境中に漏れ出る可能性があるのではないかと言われていました。本研究ではCOVID-19の原因となるウイルスであるSARS-CoV-2が人工肺から漏出した可能性を初めて報告しました。また、その対策方法についても紹介しています。

 

  • COVID-19患者へのECMO導入時にベッドサイドでダブルルーメンカニューレを挿入した技術報告
    Uemura T, Sekihara K, Ogawa T, Ishizuka K, Katsuoka H, Kawaguchi M, Matsuda W, Sasaki R, Okamoto T, Kimura A
A case of successful bedside cannulation with a bicaval dual-lumen cannula guided by transthoracic echocardiography and mobile X-ray for veno-venous extracorporeal membrane oxygenation
J Artif Organs. 2022 Mar 9;1-3.
https//doi: 10.1007/s10047-022-01322-7

体外式膜型人工肺(ECMO)を導入する場合には通常太い管(カニューレ)を脱血用と送血用に合わせて2本挿入する必要がありますが、近年、1本で脱血・送血が可能なダブルルーメンカニューレも使用可能となりました。カニューレの挿入は透視下で行うことが多いですが、COVID-19では呼吸不全が重篤で移動に耐えられない場合や、感染管理上の問題から透視室への移動が困難な場合もあります。超音波検査とポータブルX線検査を併用して、ベッドサイドで安全にダブルルーメンカニューレを挿入する方法を実践し紹介しました。 



<2020年度>

  • 重症COVID-19肺炎に対するステロイド療法:適切な投与量と投与期間について
Matsuda W, Okamoto T, Uemura T, Kobayashi K, Sasaki R, Kimura A.
Corticosteroid therapy for severe COVID-19 pneumonia: optimal dose and duration of administration.
Global Health & Medicine. 2020;2(3):193-196.
https://doi.org/10.35772/ghm.2020.01046


現在中等症・重症のCOVID-19にはステロイド療法が標準的治療となっていますが、流行初期には有効性がはっきりしていませんでした。当院ではステロイド療法に手ごたえを感じ、最初期からCOVID-19に対してステロイドを投与していましたが、その投与量や投与期間については様々な意見がありました。当時発表されていた文献や当院での経験から、ステロイド療法の投与量と投与期間について議論しました。